前回の日記へのコメントで「山型飲酒」についてご質問をいただきました。
自分なりに考えてみましたが、分かっているつもりながら定義づけは難しい。

そこで改めてアルコール依存症とはどういうものなのかを調べてみました。




アルコール依存症への早期介入 −内科医にできること−

山口大学医学部精神科神経科 講師(当時) 河野 通英
  より引用



アルコール依存症とは

 アルコール依存症患者さんをよく診ていて「痛い目」に遭った医師には、アルコール依存症患者さんのイメージができていると思いますが、「アルコール依存症」という病気そのものの定義を聞かれて、正確に答えられるでしょうか。「酔って暴れたり、暴言を吐く」、「大酒飲み」、「酒がやめられない人」等々。確かにアルコール依存症者にこういうタイプは多いのですが、定義としては不正確です。

1.連続飲酒
 典型的なアルコール依存症を一言で定義するならば、停酒不能ということになります。適量で停めることができず、「一杯のつもりが腹一杯」になってしまうのです。必ずしも「一升酒」というわけではありません。清酒換算で1日5合以下の依存症者もいます。要は「やめられない」よりも「とまらない」ほうが依存症の特徴ということです。「とまらない」の典型は連続飲酒発作といって、飲んで酔いつぶれて寝て、目が覚めると再び飲んで寝ての繰り返しが24時間以上、時に数日以上続くことを指します。この連続飲酒発作があれば即「アルコール依存症」と診断して構いません。末期には、連続飲酒と断酒機関が交互に起こる「山形飲酒サイクル」が見られることもあります。とことん飲み続けるか全く飲まないかのどちらかしかできなくなった状態です。
 稀に、躁病や極度の不安状態で一時的に連続飲酒が見られることがありますが、この場合は原因が去れば飲酒パターンが正常化するのが普通ですから「二次性」と呼んで、区別しています。

2.離脱症状
 例えば大酒家が交通事故などで入院して急に断酒したり、何らかの理由で酒量を減らしたときに、離脱症状(禁断症状、退薬症状)が出現することがあります。アルコールは一種の麻酔薬なので、反動として自律神経興奮があらわれます。発汗、頻脈、振戦などが出現します。全身痙攣を起こすこともあります。重い場合これに続き意識のくもりと幻視を伴う「振戦せん妄」が出現することがあります。離脱症状の出現をもって「身体依存」の形成とみなします。こういった症状が出現した場合も、アルコール依存症とみなして構いません。

3.依存症=依存+乱用
 連続飲酒も離脱症状も無ければ依存症ではないかというと、そうでもありません。もうひとつ「依存症=依存+乱用」という定義を説明します。つまり、ここでは依存症(dependence syndrome)と依存とを区別する立場をとります。
 ここで言う依存というのは、生物学的意味での依存です。正確に言うと行動薬理学的ということになります。依存には精神依存と身体依存とがあります。身体依存はすでに説明した通り、離脱症状の出現のことです。身体依存形成の前段階として耐性形成というのがあります。連用していると、以前と同じ量では同じ効果が得られなくなり、以前より大量を必要とするようになることを指します。精神依存というのは、例えばタバコが切れた時に、ふだん面倒くさがり屋の人が自販機まで夜中に1時間も歩いて買いに行くなど、その薬物の入手に多大な努力を払うことを言います。職場の研修旅行などで、禁酒の宿舎であってもなんとか飲もうとする人がいますが、これにあたります。多くの場合毎日晩酌している人は精神依存が形成されていると考えられます。しかし、単にこれだけでは「依存症」とは限りません。依存に乱用が加わると依存症(疾病)の段階になります。
 身体依存の形成まで進んだ(離脱症状が出現する)段階では、多くの場合乱用も伴っていますので、依存症とみなして構いません。用語上の注意としては、ICD−10(WHO)やDSM−IV(アメリカ精神医学会)といった国際分類では、ここでいう「依存症」のことを単に「依存」と呼んでいる点です。

 それでは、乱用とはどういったことを指す言葉なのでしょうか。英語では“abuse”つまり、間違った使い方のことです。具体的にはDSM−IVでは次の4つになります。

 ・社会的不適応:しばしば二日酔いで無断欠勤するなど
 ・危険行為:しばしば酒気帯び運転や機械操作など
 ・違法行為:酒に酔って軽犯罪で逮捕など
 ・社会的不適応:酒に酔って家族との口論やけんかなど

 こういった問題が起こっても飲酒を続ける場合を乱用といいます。これらは、医学的な基準というよりは、社会的な基準になり、その国の文化などに左右されてしまいます。ICD−10では“harmful use”と呼び、限定しています。例えば、肝障害を起こしているのに飲酒を止めないなどです。依存だけならば問題はあまりないかもしれませんが、社会的にこういった問題が起こってくると、止めるなり何らかの対処をとるはずですが、その対処が結果的にうまくいっていないということは、本人の意志のコントロールよりアルコールの魔力が上回った状態、すなわち、コントロール喪失状態と言え、これが「依存症」ということになるのです。

 もう一つ、中毒という言葉があります。アルコール依存症は以前は「慢性酒精中毒」と呼ばれていました。中毒という言葉は、アルコール摂取の結果生ずる臓器障害や脳・神経障害を指します。本人が自ら摂取したかどうかという視点はありません。例えば、有機水銀を含んだ魚類を長期摂取すると慢性有機水銀中毒を起こしますが、決して有機水銀を欲したわけではありません。

 どこからが「依存症」かの線引きは難しいのですが、結局のところ「断酒が必要か否か」に尽きるのです。酒の量を減らせばほとんどの問題は解消するわけですが、減らして飲むことができないから断酒が必要になるわけです。治療的な視点に立つならば、「飲酒により問題が起こっており、かつ、節酒が困難な状態がアルコール依存症」と考えれば良いことになります。



これを読みながら改めて感じました。
俺ってずいぶん昔から紛れもないアルコール依存症やったんやと・・・


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